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某魔法学園に生息する『瀕死の黒妖精』の背後ブログ。中身がダダ漏れ超えて、もはや剥き出し。       *この中ではPC様同士の面識があれば横レス可とさせて頂きます。
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黒妖精と違って、のんびり平和に生きてきた「へたれ」。
自称「物書き」だけど、単なる趣味。
2キャラ稼動で、バタバタと遊んでおります。
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学園に上げたSSについて。
まずは隊長様。思いっきりお怪我をさせてしまって申し訳ありませんっっ。
そして虚弱人間様。ブッ飛ばした挙句にパシリにしました。すみませんっっ。
ご協力頂いている方々を、一体何と心得ておるやら…。
いつか後ろからブスリと刺されるんじゃないかとか、そんな事を思う今日この頃です。
 
さて、隊長様と白銀狼様とのやりとりの部分を相談させて頂いていた際、
教えていただいた白銀狼様と隊長様の掛け合いが、あまりにもツボでして…。
けれども、黒妖精の話は基本一人称で書いているため、
黒妖精の耳に入ったり目に止まらなかったものについては表現することができず…
腹イセにおまけSSとして、白銀狼様視点のものを書き上げてみました!
全面ご協力をいただきました白銀狼様、ありがとうございます!
 
 
僭越ながら注意書き。
 
 ・ご本人様監修のもとで書き上げてはおりますが、
  本来のご本人様の心情、行動とは相違がある場合があります  

 ・ここでお読みになられた内容はL様情報としていただき、
  当人から語られない限りは、C様には反映なさらないようにお願いします
ネツァク寮724号室。
同じ科に所属するこの部屋の住人の姿を、今日はまだ見ていない。
とはいえこの友人に関しては、
何の前触れも無く授業に出て来ないことは別に珍しいことではなく、
教師をはじめ大概の学生達は、
本人の「自主休講」という言葉が正確に実施されていると思っているようだった。
しかし、ユーリはこの言葉に微かな違和感を覚えている。
騎士という自身の立場から見て、
フィブリスのような傭兵…すなわち兵…は本来
基本的には“やるべきこと”をかなり忠実に守る性質を持っているものだからだ。
一見ちゃらんぽらんに見えても、その根底にはしっかりとした“基本”がある。
それが“兵”というものであるはずだった。
そしてフィブリスという“傭兵”は、そういった意味では「かなり堅い」。
ユーリはフィブリスをそう評価している。
義務と結果に重きを置くフィブリスがまるで気まぐれのように授業をサボるのは、
何か特別な理由でもあるのかもしれないと、ユーリは考えていた。
とはいえ自分自身の抱える事情として、
余程の事が無い限りは、そこに首を突っ込もうという気も無かったが…。
 
とにかくそんな友人の部屋の前まで来た時、室内には複数の声と気配があった。
片方は部屋主であるフィブリスのもの、
そしてもう片方はユーリの上官であるゴットハルトのものである。
何を話しているのかはまで分からなかったが、
例によって例の調子の、野太いオネェ言葉が途切れ途切れに聞こえてきていた。
何かを話込んでいる様子ならば出直そうとも思ったが、気になる事もある。
だからユーリは目の前のドアを軽くノックして声を掛けてみた。
「フィスさん、いらっしゃいますか?」
「おぅ白ちゃんか。フィスならここに居るぜ?」
答えたのはフィブリスの声ではなくゴットハルトの声である。
ああ見えてゴットハルトは、友人が本気で嫌がるような事をするタイプではない。
そのゴットハルトが良いと言っているのであれば、
中に入っても大丈夫なのだと思われた。
そう思ってユーリは、ドアノブに手を掛けてゆっくりと引き開ける。
狼系獣人だからこそ感じ取ることのできていた微かな血の臭いが、ぐっと強くなった。
「……」
飛び散った本や、ひっくり返って中身をぶちまけているペットボトル。
清掃が得意だとは言い難い部屋主だったが、
この部屋がここまで散らかっているのは見たことが無い。
さらに床の所々には真新しい血痕が残り、斜めにズレたベットの上では、
二人の赤毛が仲良く並んで座って、肩と腕から血を流している。
一体この部屋の中で何をどう立ち回ったのだろうか…。
「…寮監に知れたら怒られませんか?」
聞いてみると、フィブリスは困ったような諦めたような苦笑を浮かべて答えた。
「ぜって~怒られる。怪我が増えること請け合いなんで秘密にしといてくれ」
「分かりました」
 
ベットの周りを取り囲むようにして描かれた魔法式。
フィブリスとの会話を続けながら、ユーリはそれをこそりと盗み見る。
まず最初に驚いたのは、その恐ろしいまでの緻密さだった。
一介の学生、しかもフィブリスのような
持って生まれた能力の殆どを身体能力に振ってしまっているような者には
到底構成しえないレベルのものである。
そしてその複雑な魔法式の構成の一部。
そこに組み込まれたものはユーリにとっては身近なもので、
何も語られずとも、この部屋の惨状の理由を窺い知ることができた。
 
眉をひそめる代わりに静かに静かに拳を握りこみ
何食わぬ顔でユーリは賑やかな遣り取りを続けてゆく。
ゴットハルトをメディカルセンターに連れて行ってくれと頼むフィブリスと
面倒だの何だのと言って逃れようとするゴットハルト。
「貴方の頑丈さは存じておりますが、一応、場所が場所ですからね?
 ご心配も分かりますが、治療してから出直しましょう」
腕を引いて立ち上がらせ、その耳元に小さく囁いた。
「…治りが悪いと心配させますよ?」」
にぃ…と裂くような笑みがゴットハルトの口元に浮かぶ。
「仕方ねぇなー。
 白ちゃんがそんなに寂しいなら一緒に行ってあ・げ・る」
「気持悪い言い方はよしてください」
ふざけまくっているとしか思えない勢いで全てをはぐらかす上官。
もしかしたら何も考えていないだけなのか…?
とか長年付き合ってきた今でも思わぬでもなかったが、
その上官らしさに呆れと安堵をない交ぜにしつつ背中をどやしつけながら外に出る。
「では、フィスさん、此方は御心配なさらず…また伺います」
振り返って言った時、
ヒラリと手を振って笑うフィブリスの目元に、微かな翳りを見たような気がした。
痛みと、動揺と…疲労だろうか。
それでもそれは自分の踏み込むべきことではない。
ゴットハルトに比べたら体力も精神力もフィブリスの方が劣るのは確かだったが、
自らの責任のもとに“大丈夫”を装うのであれば、
それを許すのは相手のプライドを守ることでもある。
それに、例え疲れることがあったとしても、
自力で立て直すのもまた“兵”にとっては“基本”の一つだ。
 
ドアを閉じ廊下を歩いていると、不意にゴットハルトが足を止めて後ろを振り返る。
「心配せずとも、あのベッドにいるうちはおそらく大丈夫でしょう」
口元に笑みを浮かべるゴットハルト。
「やだぁ白ちゃんったら。嫉妬してんの?」
溜息と共にユーリは言った。
「……違います」
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